カーボンニュートラルの実現に向けて、
EVだけでなくEV周辺機器の販売も日産圏で取り込んでいく

地球温暖化の一因とされる二酸化炭素(CO2)削減に向け、EV(電気自動車)の世界的な需要が高まりを見せています。そんな状況の中、EVを充電するために必要な充電器等を始めとしたEV周辺機器市場※注1も伸長していくことが確実視されています。
そのような市場を見据え、国内EV販売トップシェアメーカーである日産自動車は、クルマの販売だけでなくEV周辺機器の販売にも注力しています。そして、EVとEV周辺機器の相乗効果でカーボンニュートラルの実現に貢献していこうと立ち上げたのが「EV周辺機器プロジェクト」です。(古川)

  • ※注1
    EV周辺機器とは?
    EVの充電に使用する「普通充電器」や「急速充電器」、EVに蓄えられた電力を家や家電に給電できるようにする「V2H(Vehicle to Home)」や「V2L(Vehicle to Load)」といった機器があります。

私たちが携わっている「EV周辺機器プロジェクト」は、まさに日産トレーデイング(NITCO)の組織改編の効果がよく表れたビジネスの一つと言えます。
NITCOは2022年にBPO(Business Promotion Office)という新規ビジネスの企画立案に特化した部署を新設しました。日々の活動を通して新規ビジネスの種を見つけた際には、その事業化に向けた企画立案を行うチーム(BPO)、その後の事業推進を行うチーム(事業本部)というNITCO組織内における役割分担が明確化されたことで、新規ビジネスに積極的にチャレンジできるようになりました。(小池)

本プロジェクトは日産自動車とNITCO、日産系の販売代理店が一丸となり、EVを購入されたお客様に対してEV周辺機器もしっかりと訴求、販売していくための環境整備、さらなる販売促進を推進していくことを目的とした事業です。そういった中、NITCOのBPOは企画戦略領域や販売戦略づくり、ディーラーへの販促教育など、ビジネスの企画立案を担当。一方、事業本部は全国の販売代理店から上がってくるニーズの取り込み、オペレーションの構築、営業支援システムの導入など、実務運営を担っています。(小池)

最初の課題は、全国の販売代理店との関係性を構築すること

日産が取り扱っているEV周辺機器ラインナップの中で、我々が特に力を入れているのがV2H(EV用パワーコンディショナー)の拡販です。V2Hを導入することで、災害など有事の際もEVを非常用電源として使用できるようになります。

将来的に実現したい姿は、EVを中心としたライフスタイルを確立すること。例えば、日中は太陽光パネルで作った電気を自家消費し、使い切れない電力はEVに蓄積する、夜はV2Hを使用してEVにためた電力を家庭へ給電する、といったことを行うと、電力会社から電気を買わずに生活できるようになります。(小池)

日本はまだまだEV後進国であり、2024年時点のEV普及率は3%未満ですが、SDGsへの貢献やBCP対策の観点から、最近では個人のお客様だけではなく、社用車や公用車をEVに切り替えたり、V2LなどのEV周辺機器を導入する企業や自治体も増えています。また、災害を経験した地域ではV2HやV2Lに対する関心も増加傾向にあります。

そのような環境下でV2Hを中心としたEV周辺機器を訴求していくためには、お客様の窓口となる全国の販売代理店との関係を構築することが一つの重要な活動でした。
EV周辺機器は製品によって機能が異なり、機器を設置する際に工事も発生します。また、国や地方自治体による補助金も整備されておりますが、その制度の複雑さも、販売代理店における提案・販売が中々進まない原因になっています。そんな中、販売現場の困りごとに対してスピーディー且つ丁寧な対応を心掛けてきたことで、相談事が生じたときは真っ先にNITCOを頼ってもらえるような関係構築に努めてきました。(古川)

現場のニーズをキャッチし、ハードとソフトの両面から販売促進をサポートしていく

現場との関係構築を進める一方で、多くの販売代理店にとって、EV周辺機器の提案・販売は新しい取り組みであり、最初は様々なご意見や不安の声が寄せられたことも事実です。そういった声も真摯に受け止め、フットワーク軽く販売代理店を訪問することで丁寧に現場のニーズを吸い上げていきました。

そして、それらのニーズを戦略に落とし込み、既存の営業支援システムの改修やオペレーションプロセスの再構築、競合他社の動向や補助金関連の情報提供等を行っていきました。また、最近では一部の販売代理店と協力し、現場でのEV周辺機器提案時に使用できるオリジナルパンフレットの作成と全国展開も行いました。(古川)

そのような地道な取り組みの成果もあって、最近では「EV周辺機器の提案活動が自信を持ってできるようになってきた」、「NITCOを通してEV周辺機器に関する理解を深めることができた」といった声をいただける機会も増えてきています。

現在、EV周辺機器業界には大手電機メーカーなどが参入し始めており、今後数年の間に競争が激しくなることが予想されています。そのような時代の到来を見据え、今最も強化すべき点は現場での提案力であり、その土台を作り上げていくことがNITCOの重要な役割であると感じています。(小池)

社会課題に対してダイレクトにアプローチできるビジネス

本プロジェクトにおいて、NITCOは現状、販売代理店に対するEV周辺機器の教育やサポートなど裏方の役割が中心となっていますが、今後はより攻めの視点でのサービスや仕掛けづくりが必要になっていくでしょう。

BPOでは、本プロジェクトで蓄積した知見やノウハウを活かし、EV周辺機器だけでなく、そこから派生する新たなエネルギー関連ビジネスの立ち上げも視野に入れています。NITCOのエネルギービジネスを通して、災害に強い国づくりやカーボンニュートラル社会の一翼を担うことができればいいなと思っています。(小池)

今の時代、企業価値を左右するのは収益だけではありません。投資家だけでなく、就職を見据えた若い世代も、その企業が事業を通してどのように社会に貢献しているかをシビアに見ています。EVやEV周辺機器の拡販は、環境や災害といった社会課題に対してダイレクトにアプローチできるビジネスであり、企業価値の向上にも寄与していくはずです。(古川)

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マテリアル事業

日産自動車及びアライアンスグループである三菱自動車、ルノーの国内・海外工場及び部品メーカー向け鉄鋼製品、原料・非鉄金属、化学品等 の自動車用材料供給、情報管理及び材料のリサイクルや電力販売などの環境関連事業を通じてアライアンスグループの競争力向上及びカーボンニュートラルの実現に向けて貢献しています。