カーボンニュートラルの達成に向けて急ピッチで車の電動化が進むヨーロッパ市場

EUでは排ガス規制の強化やカーボンニュートラルの達成に向けて、車の電動化関連の設備投資が活発化しています。その流れに対応し、NITCOは日系メーカーのHEV用モーター組立ラインを、ルノーフランスのクレオン工場に納入しました。これはルノー初のHEV /PHEVモーター生産ライン用の設備で、私たちは据付からアフターサポートまでを担っています。

このプロジェクトは2019年から2021年の長期間にわたる大型プロジェクトでした。私は2016年からフランスに駐在し、事前の情報収集や受注に向けた営業活動、入札参加、価格交渉、仕様の協議などを行い、プロジェクト受注後は、日本のNITCOメンバーが中心となって進捗管理、出荷や輸送、据付などのプロジェクトマネジメントに取り組みました。(河田)

ルノーは2012年に電気自動車「ZOE」を他社に先駆けて販売するなど、欧州における電気自動車市場を牽引してきました。さらにユーザーに多様な選択肢を提供するため、新たにハイブリッド車も展開することを決めました。欧米市場における2020年のEV /HEV /PHEVの販売台数は300万台を超え、前年比70%増の成長をしています。ルノーも前年の2倍以上の11.5万台にまで販売台数を伸ばしています。今後25年までに全ラインナップの65%、30年までに90%を電動化することを目標に掲げているのです。(奥野)

考えの異なる日系メーカーとルノーの間の潤滑油となり、信頼関係の構築に務める

今回、納入に関わった設備メーカーは協力会社を含めて27社。過去にルノーへの販売実績はありません。そこで日産自動車とアライアンス関係にあるルノーの仕様や規格を熟知するNITCOが間に入り、コーディネーターの役割を担いました。そのうえで日系メーカーのみなさんと設備のコンセプトやレイアウトを検討し、ルノーに提案しました。(河田)

ルノーと日本の設備メーカーでは、エンジニアリング文化や考え方、仕事の進め方も異なります。そこをNITCOが両社間をつなぐファシリテーターとして、信頼関係の構築に務めました。両者の要望をすりあわせ、費用対効果をふくめて合意可能な妥協点を見出し、それぞれへの提案や交渉を続けました。日本の設備メーカーが気にしていた導入後のアフターサポートは、現地で対応できるエンジニアリング会社を発掘し、NITCOを介して行うことにしました。

ただフランスの自動車メーカーにとっては、遠い地にある⽇本の設備メーカーより、EUのメーカーから導⼊したほうが何かと有利な時もあります。NITCOとしては、それ以上のメリットを提示することが任務でした。品質、輸送、技術、そしてコストといったあらゆる面を鑑み、NITCOの提案が受け入れられたときは非常に感慨深いものがありましたね。(奥野)

現地での据付中にコロナ禍となり、緊急帰国や再渡航の手配に奔走する

日本の各メーカーによる設備製造の進捗状況の確認や、情報共有。フランスからルノーの担当者が視察しに来た際のアテンド。設備が完成した後は、プロジェクト全体の日程に沿った輸送計画を立て、お客様とのスケジュール調整や輸送の手配をし、毎週の輸送状況のレポート作成。船会社と独自に直接、運賃交渉をすることで、輸送コストを15%低減するなども含まれます。NITCOとしての役割は以上のように、非常に細部に渡ります。

私自身もフランスにわたり、据付の手配を行っていました。しかしその作業の途中でコロナ禍となり、突然、工場の閉鎖が発表されます。急いで作業を中断し、設備メーカーのスーパーバイザー(以下SV)を帰国させなくてはならなくなりました。場合によっては、フランスから出国できなくなったり、日本側が入国拒否をしたりする可能性もあります。そのためあわててSV20名のフライトなどの帰国手配を行い、なんとか帰国する、というようなこともありました。(奥野)

日本の設備メーカーの実力、NITCOの商社としての存在意義がEUで認められる

その際、無事にSVと共にフランスから帰国できましたが、ルノーの生産計画は後倒しができない状況でしたので、再びSVを派遣する必要があります。ただフランスの入国規制に加え、日本での規制も日々変動しています。現地駐在員と日々、連携をとりながら情報収集を行い、なんとかフランス入国に必要な書類を入手し、手続きを行いました。このような状況下でも無事、SVを送り出し、遅延することなく据付を再開することも大きな役割の一つです。(奥野)

関係者全員の奮闘により、無事ラインの導入が終わりました。ルノーの生産開始記念セレモニーでは、NITCOの貢献を表彰していただきました。その表彰以上に、日本の設備メーカーの実力や価値をヨーロッパの自動車メーカーに認めていただけたことが嬉しかったですね。(河田)

ご存知のように、ヨーロッパには商社がありません。そのためNITCOのような企業の役割や存在意義を、これまでなかなか理解いただけませんでした。しかし今回のプロジェクトの成功で、商社の価値、NITCOという会社の存在意義や有用性をフランスの方々にも理解いただけたように思います。それが証拠にこのプロジェクト以降、私どもへの依頼や相談が増えています。今回の実績、お客様からの評価をさらなるプロジェクトにつなげていきたいと考えています。

そしてこのプロジェクトで学んだことを活かし、今後もNITCOは自動車事業を通して、世界の環境負荷軽減やカーボンニュートラルの達成に貢献していきたいと考えています。(奥野)

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